スーパーで買い物カゴに商品を入れるとき、値札を見ない自分に気づいた。
いつからだろう。たぶん、もうずいぶん前からだ。外食の店を選ぶとき「予算いくら?」と聞かなくなった。日用品を買うとき「こっちの方が安い」を比べることもない。飲みの帰りにタクシーを呼ぶとき、料金を気にせずアプリを開いている。
Harris Poll 2024年調査(原典はこちら)で面白いデータがある。アメリカのDINKs夫婦で「金銭的なストレスがゼロ」と回答した人は、一般家庭の4倍。月の貯蓄額も$908(約14万円)vs 親世帯$413(約6万円)で、約2倍の差だ。
アメリカの調査なので日本とは事情が違う部分もあるけど、「共働き×子なし=お金のストレスが少ない」という傾向は、わりと実感と合う。
数字を見て納得した。うちも完全にこの4倍の側にいる。
値札を見なくなった日
正確なタイミングは覚えていない。でも、「気にしなくなった」瞬間は、なんとなくわかる。
家計を完全折半にして、共通口座の仕組みが回り始めた頃だ。毎月決まった額を入金して、共通の支出はそこから出す。残りは自由。このルールが定着したら、買い物のストレスが消えた。
「これ買っていいかな」と迷わなくなった。共通口座から出すものは夫婦で共有しているし、個人の買い物はお互い干渉しない。誰かに咎められることがない。
がく「今日の夕飯、ちょっといい肉にしない?」
はるさん「いいよー」
会話がこれだけ。「いくら?」も「今月もう使いすぎじゃない?」もない。スーパーでカゴにポンと入れて終わり。
夫婦で買い方は違う。それでも揉めない
お金のストレスがないとはいえ、夫婦で買い物のスタイルが同じわけじゃない。
はるさんは堅実だ。不要なものは買わない。本当に必要なものだけにお金を払うタイプ。セールだからとりあえず買う、みたいなことは絶対にしない。
僕もわりと慎重な方だと思う。買う前にしっかり調べる。レビューを読んで、比較して、納得したら買う。気に入らなかったら買わない。衝動買いはほぼしない。
はるさん「まだ調べてるの?」
がく「もうちょっとだけ……」
二人とも「無駄なものは買わない」という点では一致している。ただ、はるさんは直感で判断が早いし、僕は調べてからじゃないと決められない。アプローチが違うだけ。
で、個人の買い物はお互いの財布から出しているから、相手の買い方に口を出す理由がない。揉めようがない仕組みになっている。
飲みの帰りのタクシー、迷わなくなった
二人とも共通して「気にしなくなったもの」がある。タクシーだ。
飲みに行った帰り。終電を逃したわけじゃなくても、酔ってるし寒いし、「もう乗ろうか」とアプリを開く。
独身の頃はけっこう迷っていた。「歩けなくもないし」「電車もまだあるし」「タクシーってちょっと贅沢だよな」。そうやって結局歩いて帰って、翌朝「素直に乗ればよかった」と思っていた。
今は迷わない。二人で乗れば一人あたり半額だし、共通口座から出すから「誰が払う問題」もない。
がく「タクシー呼んだよ」
はるさん「ありがとう。助かる」
これだけ。帰りのタクシーで「いくらかかった」と気にしたことが、たぶんもう2年くらいない。
「ストレスゼロ」の正体は、金額じゃない
Harris Pollの調査で面白いのは、DINKs夫婦の収入が飛び抜けて高いわけじゃないということ。もちろん可処分所得は多い。でも「ストレスゼロ」の理由は年収の高さだけじゃない。
Fortune誌とFRBのデータ(参考記事)によると、アメリカの子なし夫婦の純資産中央値は$399,000(約6,000万円)。これもアメリカの話だけど、共通しているのは「支出をコントロールしやすい構造」という点だと思う。
うちで言えば、支出の大部分が「夫婦の共通費用」か「完全に自由な個人費用」のどちらかに分かれている。グレーゾーンがない。「これ、共通口座から出していいのかな……」みたいなモヤモヤが発生しない。
お金のストレスって、金額そのものよりも「判断のストレス」だと思う。使っていいのかどうか迷う、相手に聞かないと決められない、買ったあとに「言われるかも」とビクビクする。
そういうのが、全部ない。
旅行でけっこう使っても後悔がないのも、たぶん同じ理由だ。
まとめ:ストレスゼロは、仕組みで作れる
Harris Pollによれば、DINKs夫婦の「金銭ストレスゼロ」回答率は一般家庭の4倍。月の貯蓄額も約2倍。数字だけ見ると「そりゃ余裕あるでしょ」と思われるかもしれない。
でもうちの実感としては、余裕があるから気にしないんじゃなくて、気にしなくていい仕組みを作ったからストレスがない。
完全折半で線引きを決めた。共通口座で支払いをまとめた。個人の財布には干渉しない。この3つだけで、外食の値段もタクシーの料金も気にならなくなった。
はるさん「お金の心配がないって、いいよね」
がく「心配っていうか、考える必要がないんだよね」
将来のお金のことは、また別の話。でも「今」のストレスがゼロなのは、けっこう大きい。
DINKs夫婦のみなさん、お金のストレス、感じてますか? 感じていないなら、たぶん仕組みがうまくいっている証拠です。

