2年前、FIREに本気で憧れた時期がある。
YouTubeで「30代でFIRE達成」みたいな動画を見て、GeminiやClaudeで生活費と投資シミュレーションを組んだ。利回り4%で取り崩して、月いくらで暮らせるか。子どもがいないから生活費は比較的少ない。計算上は50代前半でいけそうだった。
嬉しくなって、はるさんに見せた。
がく「ねえ、50代でリタイアできるかもしれない」
はるさん「……暇すぎてダメになるよ?」
一言で刺された。
FIREは「仕事を辞める」がゴールになってしまう
冷静に考えると、はるさんの指摘は正しかった。
僕はFIREに憧れていたけど、仕事が死ぬほど嫌なわけじゃない。嫌なのは「やらされ仕事」と「出世レース」であって、仕事そのものを全部なくしたいわけじゃなかった。
ある程度のストレスがあった方が生活にメリハリが出る。はるさんはそのあたりを感覚的に分かっていた。
というか、はるさんは仕事を続けたい派だ。「やりがいのある仕事は楽しいから、わざわざ辞める意味が分からない」と言っていた。
FIREの計算をしていたときのモチベーション。結局「嫌な仕事から逃げたい」だった気がする。でも逃げた先に何があるかは、あまり考えていなかった。
FILEという考え方を知った
最近、アメリカの子なし世帯向けファイナンシャルプランナーが提唱している「FILE」という概念を知った。Financial Independence, Live Early。直訳すると「経済的に自立して、早く生き始める」。
FIREが「経済的自立→早期リタイア」なのに対して、FILEは「経済的自立→好きなことだけして暮らす」。完全に仕事を辞めるんじゃなくて、やりたい仕事だけを選べる状態を目指す考え方だ(提唱元:Childfree Insights)。
これを読んだとき、「あ、これだわ」と思った。
僕が本当に欲しかったのは「仕事ゼロの生活」じゃない。「給与や出世に縛られず、やりがいのある仕事だけやる生活」だった。FIREのシミュレーションを作っていたあの時間、実は目指すものがズレていた。
DINKsはFILEに向いている
DINKs夫婦がFILEに向いている理由はシンプルだ。自由時間が多いし、生活コストが比較的低い。その分、「仕事を選べる状態」に早く到達しやすい。
FIREだと「生活費の25倍の資産を作る」みたいなハードルがある。でもFILEなら完全にゼロ収入にする必要がない。好きな仕事で月10万円でも稼げるなら、必要な資産額はぐっと下がる。
うちの場合、はるさんは仕事を続けたい。僕だけがワークオプショナル——働いても働かなくてもいい状態——になればいいなら、ハードルはさらに下がる。
がく「僕だけFILEって、なんかズルくない?」
はるさん「私は仕事好きだからいいよ。ただし家事は折半ね」
家計は完全折半のうちの夫婦らしい返答だ。
うちの「FILE」はどんな形か
じゃあ、僕たちにとってのFILEはどんな生活か。具体的に考えてみた。
がくの理想: 出世とか給与テーブルとかを気にせず、やりがいのある仕事だけをやる。このブログもその一つ。朝起きて「今日は何しよう」じゃなくて「今日はこれがやりたい」で1日が始まる状態。
はるさんの理想: 今の仕事を続ける。ただし、無理な残業や理不尽な案件は断れる余裕がある状態。「辞めても困らない」という安心感があれば、仕事のストレスも減る。
2人とも「仕事をゼロにしたい」わけじゃない。「仕事を選べる」だけでいい。
がく「FIREのとき作ったシミュレーション、FILE用に作り直そうかな」
はるさん「そういうの好きだね」
好きなんだから仕方ない。
まとめ:辞めたいんじゃない、選びたいだけ
- FIREは「仕事を辞める」がゴール。FILEは「好きな仕事だけする」がゴール
- 完全リタイアしたいんじゃなくて、やりがいのある仕事を選べる状態が理想
- DINKsは生活コストが低い分、「仕事を選べる状態」に早く到達しやすい
- うちの場合、はるさんは仕事継続派。僕だけワークオプショナルを目指す作戦
- FIREのシミュレーションはFILE用に作り直す予定(たぶん)
2年前にFIREに憧れて、はるさんに「暇すぎてダメになるよ」と言われたとき、なんとなくモヤモヤが残っていた。でもFILEという言葉を知って、そのモヤモヤの正体が分かった。
仕事を辞めたかったんじゃない。仕事を選びたかっただけだ。
趣味に全力で時間を使えるDINKsだからこそ、「仕事も趣味も、全部自分で選ぶ」がゴールでいい。FIREみたいにストイックにならなくても、ゆるく、自分たちのペースで。
はるさん「で、そのシミュレーションいつ作るの」
がく「……今度の休みに」
たぶん、休みの日はゴルフに行く。

