「DINKsって、実際どうなの?」
検索して関連記事を読んでみても、どれもどこか他人事の解説ばかり。当事者の声がなくて、いまいちピンとこない。
そんな方も多いのではないでしょうか。
僕たちは30代の共働き夫婦。結婚前に「子どもは持たない方向でいこう」と話し合い、今はDINKsとして4年目に入りました。
この記事では、DINKsの定義と日本の現状を整理したうえで、メリット・デメリットを当事者目線で本音で語ります。「自分たちに合ってるのかな」と考え中の方の判断材料になれば嬉しいです。
- DINKsの正確な定義と「夫婦のみ世帯」との違い
- 30代当事者が実感するメリット5つ(経済・キャリア・時間ほか)
- 老後・相続・価値観ズレの3つのリスクと対策の方向性
DINKsとは?定義と日本の現状
DINKsの3つの条件
DINKsとは、Double Income, No Kidsの略。一般には「共働きで子どもがいない夫婦」を指しますが、もう少し厳密には次の3条件を満たすケースを指すことが多いです。
- 夫婦の双方が収入を得ている(共働き)
- 子どもがいない
- 自分たちの意思で子どもを持たない選択をしている
統計上の「夫婦のみ世帯」には、不妊や年齢など意図せず子どもがいない夫婦も含まれます。この記事では、意識的に子どもを持たない選択をした夫婦をDINKsとして扱います。
夫婦二人暮らしは「普通の選択肢」になっている
厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査」によれば、夫婦のみの世帯は1,339万5千世帯。全世帯の24.6%を占めています。
ただし、この数字には子どもが独立した高齢夫婦も含まれます。本記事が主な対象とするDINKs(20〜40代の意図的選択世帯)は一部に過ぎません。とはいえ、夫婦のみで暮らすこと自体は、日本社会でごく普通の選択肢になっていると言えます。
DINKsが増えている背景
背景には大きく3つの変化があります。
- 女性の就業率上昇:内閣府「男女共同参画白書(令和7年版)」によれば、25〜44歳女性の就業率は81.9%。「結婚=キャリアを降りる」という前提が成立しなくなった
- 子育てコストの重さ:養育費・教育費を合わせて、すべて公立でおよそ850万円、私立中心なら2,000万〜3,000万円超。世帯年収が伸び悩む中、慎重になる夫婦が増えている
- 価値観の多様化:「結婚したら子どもを持つもの」という前提がゆるみ、パートナーシップありきの夫婦の形が可視化されてきた
DINKsの5つのメリット|実際に感じていること
1. 経済的余裕が段違い
二馬力の収入に対して、教育費・養育費・保育料・習い事代がかからない。この構造が、可処分所得を大きく押し上げます。
我が家では夫婦それぞれNISAとiDeCoを活用しています。最初は僕が一人で始めて、途中ではるさんに勧めました。
がく「NISAやったほうがいいよ、マジで」
はるさん「……よくわかんないけど、やる」
このノリで始めたけど、今では夫婦とも満額枠を使っています。浮いたお金を「仕組み」に載せるかどうかで、10年後の景色が変わる。DINKsの経済的優位は、戦略的に使わないとただ消えます。
2. キャリアの連続性を保てる
産休・育休・時短による中断なく、20〜30代のキャリアを積み続けられます。
20〜30代はスキル形成と市場価値の向上が最も進む時期。特に専門職やスタートアップなど成果型評価の強い職種では、中断のない継続稼働が昇進・昇給に直結しやすいです。
3. 時間の自由と自己投資
時間の使い方を、完全に自分たちで決められます。
うちの場合、浮いた時間はほぼ趣味に消えています。キャンプ、ゴルフ、旅行。平日夜に資格の勉強をしたり、週末に早朝からコースに出たり。自己投資にも体力づくりにも、好きなだけリソースを振れるのはDINKsの特権です。
その余白をさらに増やす工夫として、「朝食の準備」をゼロにしたのもその一つ。ベースフードを朝食に固定したら、毎朝の準備が20分→10秒になった。

夕食もナッシュを使って宅配弁当に切り替えたことで、平日の料理時間はほぼゼロになった。積み重ねで年間200時間以上が浮く計算になる。

4. 夫婦関係に向き合い続けられる
子どもがいる夫婦は「父」「母」という役割に引っ張られる部分があります。DINKsはずっと「パートナー」のまま。
これは楽な話ではなくて、「一緒にいる意味」を常に更新し続ける必要があるということでもあります。僕たちは結婚前に子どもの話をしっかり擦り合わせました。決まった頻度の「夫婦会議」はやっていないけど、お金・仕事・将来のことは定期的に話すようにしています。
5. 住む場所・働き方の自由度
学区を気にせず住居を選べる。転勤や海外移住の判断が早い。フルリモートか通勤かもライフステージに縛られない。
うちは実家と職場のどちらにも行きやすい場所を選びました。「子どもを基準にした制約」がないだけで、人生の可動域は想像以上に広がります。
知っておくべきデメリット・リスク
メリットだけ見ると最強に見えますが、目を逸らせないリスクもあります。
1. 老後のサポート問題
もっとも重い課題がこれ。介護が必要になったとき、実子に頼る選択肢はなく、備えがなければ厳しい状況になります。任意後見・遺言・死後事務委任などの法的備えと、老後資金の積み上げがセットで必要です。
- 夫婦のどちらかが先に倒れた場合の介護負担
- 2人同時に要介護になった場合
- 認知症になった際の財産管理
- 単身になった後の孤独死リスク
「気をつければ避けられる」類のリスクではなく、仕組みとお金で備える以外に解決策がない問題です。具体的な備え方は、次の記事(戦略編)で詳しく扱います。
2. 相続の複雑化
子どもがいない夫婦では、片方が亡くなった場合、亡くなった人の親(存命なら)や兄弟姉妹が配偶者と一緒に相続人になります。「全財産が配偶者へ」は自動では成立しません。
この問題は遺言書の準備で予防できますが、準備している夫婦は驚くほど少ないのが現実です。
3. パートナーとの価値観ズレ
30代前半まで「子どもはいらない」で一致していても、友人の出産ラッシュや節目の年齢で、片方の気持ちが揺れることはあります。
DINKsは「一度決めたら終わり」ではなく、定期的に再確認し続ける選択です。
4. 社会的プレッシャーは?
「子どもは?」「孫の顔が見たい」
DINKsのデメリットとしてよく挙げられる話題ですが、正直に言うと、僕たちの環境ではほとんど聞かれたことがありません。
令和の空気感として、他人のライフスタイルに踏み込む場面は減っている気がします。もちろん環境や職場によってはプレッシャーを感じるケースもあるでしょう。「DINKs=必ず偏見に晒される」とは言い切れないというのが、あくまで僕個人の実感です。
よくある質問
DINKsは老後、本当に大丈夫?
お金・住まい・法的整備(遺言、任意後見)・コミュニティの4点を早めに仕込んでいれば、「子どもがいる老後」と比較しても決定的に不利ではありません。ただし、何も準備しなければ普通に厳しいのも事実。準備ありきの選択肢です。
途中で子どもが欲しくなったらどうする?
その時点で夫婦で話し合い、自然妊娠・不妊治療・養子縁組などの選択肢を検討することになります。DINKsは撤回できない決断ではありません。ただし年齢要因で選択肢が絞られるので、定期的な擦り合わせが重要です。
子どもがいる夫婦より幸福度は下がる?
幸福度は「子どもの有無」よりも「配偶者との価値観の一致度・生活満足度」で決まる、というのが各種調査の傾向です。DINKsかどうかではなく、どう生きているかが効いてきます。
DINKsと「夫婦のみ世帯」は同じですか?
「夫婦のみ世帯」は統計上の区分で、高齢の夫婦や不妊などで意図せず子どもがいない夫婦も含まれます。DINKsは一般に「意識的に子どもを持たない選択をした共働き夫婦」を指します。この記事では後者の定義で使っています。
DINKs夫婦は遺言書を書いておくべきですか?
早めに準備しておくのが安心です。子どもがいない夫婦では、片方が亡くなると配偶者だけでなく、故人の親や兄弟姉妹も相続人になります。遺言書がなければ、遺産分割の話し合いが複雑になるケースがあります。30代のうちから公正証書遺言を検討するのが一般的な備え方です。
まとめ|DINKsは「備えれば回る」選択肢
何も備えなければ普通に後悔する。でも備えれば、自由度の高い暮らしが手に入る。
この記事で押さえた要点:
- メリット:経済的余裕・キャリアの連続性・時間の自由・夫婦関係の深さ・住まいの自由度
- リスク:老後サポート・相続の複雑化・パートナーとの価値観ズレ
- 備えの3軸:お金の仕組み化(NISA・iDeCo)・法的整備(遺言・任意後見)・夫婦の定期的な対話
次の記事では、お金・関係性・住まい・法律・コミュニティの5領域で、具体的にどう備えるかを整理します。
関連記事
本記事の統計データは、厚生労働省「国民生活基礎調査(2023年)」、内閣府「男女共同参画白書(令和7年版)」を参照しています。

